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番外編彼が大好きな、彼フェチのりんりんさん
奈梛ただいまと鳥飼さんが帰ってきたのはその日の夜だった。
「フーパパはまだ仕事が残っていて明日には帰ってこれると思うんだ。パパたちがいなくて寂しかっただろう」
一太おにいちゃんとハルおねえちゃんたちが遊んでくれたから寂しくなかったよ。奈梛ね、ひとりでお泊まりできたの。すごくない?とでもお話ししているのかな?得意気な表情を見せてくれた。
「そうか。一人でお泊まりが出来て偉いぞ」
しゃがみこみ、奈梛ちゃんと同じ目線で話す鳥飼さん。にっこりと微笑むと頭をぽんぽんと優しく撫でた。
「奈梛が寂しい思いをしているだろうと思ってパパだけ先に帰ってきたんだ。でも取り越し苦労だったみたいだけどな。奈梛帰ろうか?」
手を差し出す鳥飼さん。でも奈梛ちゃんはその手を握らず、ぶんぶんと首を横に振った
「やっぱり断固拒否か。予想はしていたけどそうはっきり言われると流石にへこむな」
困ったように苦笑いを浮かべた。
「鳥飼、若いのと積もる話しもあるだろう。泊まっていったらどうだ?」
彼が声をかけた。
「若いのと話すことは特段ありません。俺が他の男と一緒にいたことを知ったらフーが臍を曲げてしばらく口を聞いてくれませんから……もしかしてチカですか?」
「あぁ。てっきり聞いていると思った」
「位置情報をキャッチされないようにずっと携帯の電源オフにしていたんですよ。すみませんすぐに確認します」
斜めにかけていたボディバックから携帯電話を取り出す鳥飼さん。
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