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番外編彼が大好きな、彼フェチのりんりんさん
「いいかヤス。世の中には冗談が通じないヤツがいる」
「近付くな変態」
「信孝こわ~~い」
若い衆たちが何やらはじめた。
「アイツらは公衆の面前で何をしているんだ?」
「オヤジと信孝さんの痴話喧嘩を再現してるんですよ」
「ふざけた真似しやがって。信孝に半殺しにされるぞ。困った連中だ。でもな、わちゃわちゃするのは仲がいい証拠だからな……」
額に手を置いてやれやれとため息をつく弓削さん。
月明かりに照らされた闇夜に赤い光が一瞬瞬いたような気がした。
「稲光りか?いや、違う。お前ら命が惜しかったらさっさと伏せろ!」
弓削さんが声を張り上げた。
ウ―さんも異変にすぐに気付いて、那和さんにそこから動くな、隠れていろと声をかけた。
ピリピリとした緊迫感にしんと静まり返る。その時だった。
「いやぁ~~いいもん見れたわ。芫が惚れただけはあるわ」
ぱちぱちと手を叩きながら間の抜けたような声とともに現れたのはりんりんさんの護衛役の男性だった。
コイツらは全員日本語が話せません。話せるのは俺だけだ。そう山龍さんが話していたけど……。
「テメェ―兄貴を試したのか?」
弓削さんが声を荒げる前にヤスさんが男性をじろりと睨み付けた。
「それで睨んでいるつもりなのか?その目、恋してる目だわ。いやぁ~~惚れ惚れするわ。食べたくなるくらい可愛いわ」
「それ以上余計なことを言ったら締め上げるぞ」
「本当に締め上げてくれるの?縛られるの、好きなんだね」
「は?」
嬉々とした表情で両手を差し出され、ヤスさんの目が一瞬点になった。
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