3996 / 4006

番外編彼が大好きな、彼フェチのりんりんさん

「犬みたいなヤツだな」 「オヤジの匂いフェチか」 もしかすると宋さんと覃さんの上をいくかなりヤバイヤツかも知れない。触らぬ神に祟りなし。近寄らない方がいい。幹部たちがヒソヒソと話していたら日本語が分からないはずなのに。りんりんが不機嫌そうに眉をひそめた。それを見た彼が、愉しげに笑いながらよしよしと頭を撫でた。 「子どもじゃないから子ども扱いするなって文句を言ってますよ、彼」 「俺の前では子どもだろ?舎弟はみんなめんげぇ俺と未知の子どもだ」 「オヤジ、前々から聞こうと思ったんですが」 「なんだ言ってみろ」 「自分が人たらしだという自覚がありますか?」 「いや、ない」 即答され思わずずっこけそうになる鞠家さん。りんりんさんは和気あいあいな二人を見て焼きもちを妬いたみたいで唇を真一文字に結んでムッとしていた。 愛するウヅキの息子婿になるにはどうしたらいい?大真面目な顔でボスに聞いたことがある。さすがのボスも返答に困っていた。そういえば山龍さんがそんなことを話していたっけ。図体だけはデカイ癖に中身は子どもで手のかかる甘えん坊だ。見た目と中身が全く違う。 「実は殺し屋なんだとりんりんの秘密を明かしたらどれだけの人が信じるんだろうな。まっとうに生きている若者を拐ってきて殺人マシーンにしてしまう黒竜が一番おっかない」 彼がぽつりと漏らした。 「それに荷担しているシェドもですよ。人を撃つが快感だなんて。頭がおかしいです。りんりん、お前は違うよな?」 鞠家さんの問い掛けにニヤリと笑うりんりんさん。今日も長い夜になりそうだ。名残惜しそうに彼から離れるとポツリとそう口にした。 どういう意味だと鞠家さんが聞いたけど、りんりんさんは笑って誤魔化して答えをはぐらかした。

ともだちにシェアしよう!