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番外編彼が大好きな、彼フェチのりんりんさん
「なんでそこで否定するかな。ヤスがかわいそう」
「鈍感ですからね」
「鈍感過ぎるの、弓削は。カフスボタンに彫られている文字LOVEだよね?」
「LOVEにもいろいろな意味がありますからね」
「だよね。日本語は難しいわよね」
和やかな雰囲気の中、台所でお茶を飲む橘さんとチカちゃん。そこへお風呂上がりの柚原さんが肩に掛けたタオルで髪を拭きながら姿を現した。
「優璃、水をもらえるか?」
「ぱぱたんお帰り」
ぶんぶんと両手を大きく振るチカちゃん。
「なんだもう酔っ払っているのか?」
「今日はまだ飲んでないもん」
お茶が入った湯呑み茶碗を掲げるチカちゃん。
「ぱぱたんの力でなんとか出来なの?焦れったくて見てられないんだけど」
「オヤジが何とかしてくれるから余計なことはせず大人しく待ていろ」
「えぇ~~!いつになるか分かんないじゃん」
チカちゃんの甲高い声に思わず耳を塞ぐ柚原さん。
「まるで千里がいるみたいですね」
ちょっとやそっとのことでは動じない橘さんも苦笑いを浮かべていた。
「千里といえばオヤジとさっき電話で話しをしていたな。千里も声がデカイから内容が筒抜けになっていた」
「本人は否定しているけど鳥飼の舎弟だったんだよね?」
「あぁ、千里もそのことを確認するのに電話を掛けてきたんだろう」
柚原さんが小腹がすいたと冷蔵庫を開けるとおにぎりがどんと皿に盛られたのが入っていた。
「食べ盛りの大人がうちには沢山いますからね。柚原さんで四人目ですよ」
橘さんがふふっと笑った。
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