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番外編彼が大好きな、彼フェチのりんりんさん
「主要都市でなくあえて地方都市を選んで行動を起こす。まさかこんなところで仕掛けてくるとは思わないだろう。サツの意表をつき、不意打ちをくらわせて、てんてこ舞いになるサツを見て喜ぶような連中だからな。ある意味俺らより変態かもな。西口広場で事件が起きたときも一部始終を笑いながら生配信していただろ?死神の戦闘員が紛れているからここにいる人、皆殺しにします。恨むなら死神を恨んでくださいね、動画にそうテロップがあった。ふざけんな。人の命をなんだと思っているんだ」
宋さんが語気を強めた。
「それ、アタシも見たわ。一太くんたちが側にいたから慌ててスマホをしまったけど、あんなの子どもに見せるものじゃないわ」
チカちゃんの手がかすかに震えていた。
「一番怖いのは、あれを見た若い子たちがシェドや紫竜に傾倒し、憧れを持ってしまうことよ。二人は世の中を良くするために自分たちの代わりに闘ってくれている。生き様がカッコいい。でもね、みんな頭にないのよ。紫竜がチャイニーズマフィアのボスで、シェドがカルト教団の教祖という肝心要なことに」
「見た目で人を選ぶからいとも簡単にころっと騙される。いかにも胡散臭いセミナーに誘われてなにも疑いもせずほいほいついていく。沼にはまったと気付いたときにはもう遅い」
宋さんがものの数秒でおにぎりをぺろりと平らげると、ご馳走さま、旨かったと言いながら椅子から立ち上がった。
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