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番外編彼が大好きな、彼フェチのりんりんさん
でも安心したのも束の間。
「ヤクザをやめてカタギになってまっとうに生きていたのに。仕事だって無遅刻無欠勤で真面目に働いていたんですよ。悔しいですよ、こんなんで仕事を失うかもしれないなんて」
「千里も相談役も顔が広い。そこら辺はうまくやってくれるはずだ」
「相談役?」
「言ってなかったな。秦さんのことだ。名誉会長職は身の丈にあわないからと固辞され、相談役で落ち着いたみたいだ」
「経験豊富な秦さんがいるから会長も心強い。また二人に借りが出来た」
「頼られれば嬉しいからな。気にすんな」
「フーが帰ってくるまで娘としばらくいろと会長に言われたんですよ。なんのことだか分からなくて返事は保留にしてあるんですよ。しばらく厄介になります」
「そうか、奈椰が一番喜ぶな。鳥飼、単独行動は当分禁止な、若いのを連れて歩け」
「はい」鳥飼さんが背筋をぴんと伸ばして返事をした。そのとき、
「オヤジ」
鞠家さんがスタスタと歩いてきて彼に耳打ちした。
「何?」
彼の表情が強ばった。
「オヤジ、フーに何かあったんですか?」
「フーじゃなくてりんりんたちのほうな。偵察していた若いのから連絡があった。先回りして待ち伏せをされたらしい」
鳥飼さんに心配ないと、彼が落ち着いた声で答えた。
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