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番外編彼が大好きな、彼フェチのりんりんさん
携帯電話の画面を見ると【朝五時に岳を出発してK駅から始発の新幹線で東京に向かう】とお祖父ちゃんからのメッセージが残されていた。
九鬼総業が解散する前にやめた構成員まで狙われているということは上田さんも狙われているということになる。
「楮山組と神政会、このままいったら抗争に発展するかもよ」
鼻歌を口ずさみながら携帯電話を片手で操作するチカちゃん。
「チカさん、すごく楽しそうに見えるんですが気のせいですか?」
僕と一緒に朝御飯の用意をしていた橘さんがふと手を止めた。
「気のせいよ。ぜんぜん楽しくないもん」
ギクッとするチカちゃん。どうやら図星だったみたい。
「そうなると宇賀神組も巻き込まれますよね?」
橘さんに聞くと、
「組長代理になった渋川さん派と、若頭の槇島さん派で真っ二つに分裂している状態ですからね。そもそも槇島さんは自分より若い渋川さんが組長代理をしているのがおもしろくないみたいですしね。こんな体じゃなかったら自分か、自分の腹心が組長代理になったのにと、いまだに根に持って、ねちねちと小言を言っているそうですよ」
「上司の風上にも置けないわ。そんなだと誰もついて来なくなるわよ。少しはハルくんを見習わないと。渋川だってハルくんラブで、ハルくんが一番尊敬する人なんでしょう」
「そうですね。遥琉フェチがますます増えそうですね」
橘さんがクスリと笑んだ。
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