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番外編彼が大好きな、彼フェチのりんりんさん
「先生、隆次たちの怪我の具合を聞いてもいいですか?」
「さっきも言ったがたいしたことはない。打撲に擦過傷に切創に刺創くらいだ。肩に包帯を巻いていた若いのになんで病院に行かないんだと聞いたら手配犯だからと即答されてどう返していいか正直戸惑った。冗談半分かも知れないが、体中が傷だらけだった。新しい傷から古い傷まで。煙草を押し付けられた跡も残っていた。こんなに若いのに今までどんな人生を歩んで来たのか、考えただけでもごせなぁ」
上澤先生がため息をつきながらふと空を見上げた。
「なんでヤクザになったのか聞いたんだ。結局答えてはもらえなかったが……聞くだけ野暮だった」
「そんなことないですよ。門前払いされてサツに通報されてもおかしくないのに先生は隆次たちをみてくれで判断せずちゃんと診察してくれた。感謝しても感謝しきれないです」
「鳥飼、すっかり変わったな。ここに来たときは構わないでくれ、ほっといてくれ、あんだけつんつん尖っていたのに。フーと結婚して奈椰を育てるようになってずいぶんと丸くなった。体型じゃないぞ。性格のほうだぞ」
「分かってます。ケンカより事務仕事のほうが性にあっていると結婚してから気付きました。ケンカは若いのに任せます。もう年ですし」
鳥飼さんがクスリと笑った。
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