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番外編彼が大好きな、彼フェチのりんりんさん

「朝茶とみそ饅頭が旨かった。また来る。ごっつぉさん」 上澤先生は散歩がてら度会さんと鳥飼さんに会いに来たみたいだった。 「鳥飼、お前が年なら俺らどうすんだ?」 「失言でした。すみません」 「フーから連絡はあったのか?」 「ないです。位置情報から居場所を特定される恐れがあるので携帯電話の電源は切ってあるのでこちらから連絡をするのは難しいと思います」 「そうか、命には別状がないとはいえ、国井はチカの亭主だからな。俺にとって娘婿みたいなもんだ。だから心配でしょうがない。でもそれを顔に出すわけはいかない。昔気質のヤクザ、泣く子も黙る雷親父ってことになっているからな。オヤジを立てないと若いのに示しがつかない」 「オヤジがその言葉を聞いたら喜びます」 奈椰ちゃんが何かに気付いたみたいで、度会さんの膝の上からぴょんと下りると廊下の奥を指差した。 「奈誰誰かいるのか?」 鳥飼さんが目を凝らして見るも人の気配はしない。でも耳を澄ましているとツカツカと早歩きでこっちに向かっている足音が聞こえてきた。 「そういえば遥琉が朝っぱらからため息をついていたな」 「招かざる客ですか?」 「さぁ、どうかな」 ニヤリと笑うと度会さんが腕を前で組んだ。 「お前さんもずいぶんとまぁ早起きだな」 ピタリと足音が止まった。 「珍獣に野獣を手懐けられる遥琉はたいしたもんだ。そう思わんか?」 「これっぽっちも思いません」 ぶっきらぼうな言い方をしてプイッとそっぽを向いたのは森崎さんだった。

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