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番外編彼が大好きな、彼フェチのりんりんさん

「卯月さんにどれだけ迷惑を掛けているのか身をもって分からせないと図に乗ります」 「怪我人には優しくしろよ。弱いものイジメは駄目だぞ」 「りんりんだけ無傷ですよ」 「それだけ弾よけが優秀だってことだろ?」 「無鉄砲なヤロウです。命がいくらあっても足りない。無茶ばかりして無駄死にするだけです」 「森崎、娘が怖がる。怖いツラをするな」 鳥飼さんが森崎さんをチラッと見た。 「もともとこういうツラだ。慣れてもらわないと」 鳥飼さんの服にしがみつき目をうるうるさせる奈椰ちゃん。それを見た森崎さんがクスリと笑った。 「いつの間にか人見知りをするようになったんだな」 「大姐さんに抱っこしてもらったとき声が嗄れるんじゃないか、そのくらいギャン泣きされてずっと泣き止まなくて、冷や汗が止まらなかった。知らない人じゃないだろって。奈椰、泣かなくていい」 鳥飼さんが奈椰ちゃんの頭を撫でると、安心したのかにっこりと笑ってくれた。 「また騒ぎになっているな」 「いるかいないか分からない存在に振り回されている連中の姿を見るのは滑稽です。たとえいたとしてもとうの昔に母子共々まゆこに消されていますよ。もっとも残忍な方法で殺されています。度会さんにはいないんですか、隠し子」 「い、いるわけないだろう。お、俺は紫一途だ。森崎、頼むから波を立てないでくれ。紫を怒らせると怖いだぞ。口を聞いてもらえないし構ってもらえない。男やもめの寂しい老後を送ることになる。俺にとって死活問題だ」 普段は冷静沈着な度会さん。ちょっとやそっとのことでは動じない。でも紫さんのことになると妙にソワソワして、こんな風に慌てふためく。 その頃、彼はその招かざる客に捕まっていた。

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