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番外編彼が大好きな、彼フェチのりんりんさん

琥珀(フ―ボ―)、久し振りに会ったのに相変わらず冷たいな。その怒った顔が可愛い。あ、でも俺には勝てないがな』 フフフと愉しそうに笑うりんりんさん。 「ナルシストだったらマジで気持ち悪い」 那和さんが思わず本音をボソッと漏らした。 「幸せになればなるほど怖いんだ。いつかそれが壊れてしまわないか、高行さんが突然いなくなって。また独りぼっちになるんじゃなかって。夢に何度見たか」 底知れぬ不安な感情が沸いて顔を曇らせる紗智さん。 りんりんさんは隠し撮りするくらい大好きな彼に会うためにここに来たはずなのに。二人のことをそれとなく見ていることにふと気が付いた。何が目的なのか分からなくて静観していた。誰だって思い出したくないことはある。過去のことを今更ほじくり返していい訳がない。心に受けた傷は一生癒えるものではないもの。 「りんりんさん」 これ以上我慢できなくて三人のところに行こうとしたら、 「それは俺の役目です」 柚原さんに止められた。 「菩薩のように優しいねえさんがちゃんと怒ってくれたことがとても嬉しいです。いまは可愛い息子たち側にいてやってください」 にっこりと微笑む柚原さん。でも目は笑っていなかった。殺気立った、おぞましい気配が漂っていた。普段の柚原さんとはまるっきり違うその表情を見たりんりんさん。一切動じることなく目が嬉しくてたまらぬというようにきらきらと輝きだした。 「お手柔らかにお願いしますね」 「コイツの飼い主の許可はもらいました。ちょっと外に出てきます。りんりん、ツラ貸せ」 先にスタスタと歩き出した柚原さんのあとをルンルン気分でついていくりんりんさん。 「掴み所がない人」 「マ―もそう思った?多重人格だよ、アイツは。紗智、ぱぱたんが連れていったからもう大丈夫だよ」 洗濯かごを抱えたままへなへなとその場に倒れこむ紗智さん。

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