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番外編彼が大好きな、彼フェチのりんりんさん
「四季は娘みたいなもんです。ねえさんはこの世でねえさん一人だけ。俺の大事なねえさんです」
目をキラキラと輝かせるヤスさん。
もしかして弓削さんのことを忘れてませんか?と聞こうとしたら、
「まわりはみんな知ってて、バレバレなのに。なんで本人は気づかないんでしょうね。これを着たら少しは俺のことを意識してくれますかね?ねえさんだけでなく俺も見てほしい。なんて我が儘ですよね」
「そんなことはないです。応援することしか出来ませんがいつか必ず気付いてくれます」
「じゃあ有り難く受け取ります。兄貴を驚かせたいのでこの事は内緒にしておいてください」
「分かりました」
「ねえさん、この恩は一生忘れません。祭りがこんなにも楽しみだなんて」
大喜びするヤスさんに、言い出しっぺは紫さんですと言うことができなかった。
「どうした?」
唇の前に指をおくフ―さん。
「ここから動くな。声を出すなってか?こんな状態なんだ。動ける訳がないだろう。大人しくしてるよ」
点滴のチューブが腕に刺さっていない方の手を器用に使い布団を手繰り寄せると頭から被る国井さん。
言葉が通じないもどかしさはあるものの、フ―も一度守ると約束したらそれを最後の最後まで守る男だ。椅子から立ち上がったフ―の手にはいつの間にかナイフが握られていた。
今まではさほど気にもとめなかったが、彼の背中をはじめて見たかも知れない。
鳥飼に惚れて組織を抜けた男。死神の戦闘員だった男。地竜の片腕だった男。長年寝食を共にしたウ―を非情にもあっさりと捨てた男。フ―にはいくつもの顔がある。どれが本当の顔なのか。いまだに分からない。
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