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番外編国井さん、熱烈に口説かれる
「ねえさんがいるのにオヤジがガ―ルズバ―に足繁く通っているなんて意外です」
たまたま偶然通り掛かった蜂谷さんが声をかけた。
「おぃハチ、半殺しにされたいのか?」
殺気立ったドスのきいた低い声でじろりと睨み付ける彼。
「されたくないですよ。冗談ですって。オヤジにやましいことは微塵もないことくらい分かってますよ。そんなに怖い顔をしないでください」
蜂谷さんが愛想笑いをして誤魔化していた。
「ねぇハルお兄ちゃん、陣屋通りって弓削さんのおじさんとおばさんが経営していた白雪美容室のあたり?」
「あぁ。そうだ。通りを挟んだ向こう側だ」
「ふぅ~~ん。そうなんだ。暗くなったらちょっと出掛けてくるわね」
「一人で大丈夫か?」
「大丈夫じゃないって言ったら?こう見えてもアタシか弱い女の子なのよ」
「か弱いってどの口が言ってんだが。分かったよ。若いのを弾よけに貸してやる。好きなのを選べ。鬼に金棒だろ?」
「あらやだ選り取り見取りじゃないの。ありがと、ハルお兄ちゃん」
千里がもう一人いるみたいでどうも調子が狂うと額に手を置く彼。ため息をついた。
「ねぇ、聞いて、聞いて。ハルお兄ちゃんに千里にソックリだって言われたのよ。嬉しい~!」
いつもよりテンションが高いチカちゃん。
「嬉しいのは分かった。分かったから俺に抱き付くな。ただでさえあづいのに。ハチ、笑って見てねぇで助けてくんちょ」
「弓削のエプロン姿なんて滅多に拝めるもんじゃないからな」
「でしょう、超貴重だもん。蜂谷さん分かってるじゃん」
チカちゃんとしてはぽんと軽く蜂谷さんの肩を叩いたつもりだったみたいだけど、
「アダダ……」
相当痛かったみたいで苦悶の表情を浮かべていた。
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