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番外編国井さん、熱烈に口説かれる
「おめさん、もしかして俺を弾よけにするつもりか?」
「だって蜂谷さんと鞠家さんは……ねぇ。いろいろと気まずいでしょう?」
「まぁ、それもそうだが、それを言ったら俺も知ってる顔のデカが何人もいるぞ」
「弓削さんは大丈夫よ」
あっけらかんに答えるチカちゃん。
「何を基準に大丈夫だって言ってんだがわがんね」
額に手をおいて弓削さんがやれやれとため息をついた。
「佐治、ミツオ、なんで弓削兄貴なんだ?」
浮かない表情のヤスさん。
「俺らに聞くな」
「そんなに心配なら俺が代わりに弾よけになる」
佐治さんが手を上げると、
「佐治は駄目だ」
「なんでだ」
「渋川から苦情がくる」
「意味わかんね―」
佐治さんが髪をくしゃくしゃと掻いた。
「急いでガサ入れをしないといけなくなったということか?」
「ノーコメントもおやっさんには通じわね」
「何年俺の部下をしていたんだ?チカの顔を見れば分かる。ほら、やる」
伊澤さんがぶっきらぼうな言い方をしながら綺麗にラッピングされたちいさな箱をチカちゃんに渡した。
「派手な色の口紅しか持ってこなかったと小耳に挟んでな。ナチュラルカラーの口紅だ。これをつけていけ」
「口紅じゃなくてルージュよ」
「どっちも似たようなもんだろ」
「おやっさんありがとう。あら、やだ。これ新色じゃない。SNSで話題になっててなかなか手に入らないのよ」
「休日返上や夜中に呼び出されるのもざら。激務のわりには安月給なんだ。新幹線代とかもろもろかかるだろう。浮いた金で旨いものを食べろ。スーツは?」
「未知さんが用意してくれた」
「さすがねえさんだ。仕事か早い。チカ、俺を弾よけに連れていけ。弓削も佐治も駄目だ。伴侶を他の誰にも見せたくない。出来るなら部屋に一生閉じ込めておきたい、そういう相手だろ?もし万一他の組の若いのや黒竜のメンバーに目をつけられたらどうすんだ?」
「収拾がつかなくなるわね。でもなんでとうの本人たちは気付かないわけ?」
「さぁ~~どうしてだろうな」
伊澤さんが苦笑いを浮かべた。
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