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番外編国井さん、熱烈に口説かれる

「若いのが肝試しをするのに不法侵入して、ボヤ騒ぎを二回も起こしている。傍迷惑なやつらだ。そのうちバチが当たる」 ドアの前に煙草と近くの菓子店で買ってきた饅頭を置く弓削さん。伊澤さんと静かに手を合わせた。 「これからどうすんだ?」 「阿部さんに義夫さんの債務状況を調べてもらったらかなりの借金があることが分かったんですよ。久弥とも相談して遺産相続を放棄することにしました。俺も知らなかったんですが、ハルさん、亡くなる一ヶ月前に保険屋を呼んで保険金の受取人を義夫さんから俺に変更していたんです。ハルさんがせっかく遺してくれたんで素直に受け取って、久弥に結婚祝いとして全部渡そうかと思っているんですよ」 「弓削、お前もそのうち結婚するだろう」 「俺は結婚には向いていません。俺みたいな半端者、好きになる物好きはいませんよ。ねえさんと子どもたちの側にいれるだけで幸せなんで、十分です」 「あのな弓削……」 たく、コイツは。野獣なみに鼻は利くし勘は鋭い癖に、色恋沙汰にだけはどうしてこうも鈍いんだ?あれほど好きをアピールしているヤスの気持ちになぜに気付かない?オヤジが言った通りだ。これはなかなか手強いぞ。伊澤さんがため息を心の中でついた。

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