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番外編国井さん、熱烈に口説かれる
「オッサン、暑くねぇのか?お、なかなかいいモン持ってるじゃん」
暗くなっても汗ばむくらい暑いのに長袖の白シャツに黒の布帛仕様のジレを着ている弓削さんを怪訝そうに見る男性。カフスボタンにふと目を留め、手を伸ばした。
「触るな」
低い声を発する弓削さん。
「あ、聞こえないな」
「触るなって言ってるのが聞こえないのか?」
じろりと男性を睨み付けた。
「オッサン、何者だ?」
ただならぬ雰囲気に動揺しはじめる男たち。
「お前さんたちが束になっても勝ち目はない。道を開けろ」
伊澤さんと弓削さんが鋭い眼光で睨みをきかせると、男たちが慌てて左右に分かれ道を開けた。
「弱い癖にいきがってんじゃねえよオッサン」
ちょうどビルから出てきた短く刈り上げた茶髪の男が伊澤さんと弓削さんに向かって突進してきた。
拳をふりあげて殴りかかってくる男性。余裕の笑みを浮かべ、すっとかわす弓削さん。
「おめさん、煙草と酒の匂いがぷんぷんするがまだ未成年だろ?駄目だべ、煙草も酒もまだ早いべした」
「うるせ―」
「目上の人にそだ口の聞き方はねぇべした。兄貴たちにちゃんと教えてもらわなかったのか?」
「やかましい」
なおも殴りかかろうとする男性に対し、弓削さんは余裕綽々だった。コイツらの兄貴分たちは新潟に駆り出されている。だから知った顔の構成員がいないのか。
「兄貴たちが留守の間好き勝手していたら半殺しにされるぞ。今の若いのは口より手のほうが早いわりには喧嘩慣れしてねぇからか腕っぷしが弱い。俺と本気でやり合おうとするその度胸だけはたいしたもんだ」
「馬鹿にしてんじゃねぇぞ」
「馬鹿にしてない。これでもおめさんを褒めているんだよ」
弓削さんが振り上げた男性の拳をガシッと掴んだ。
「ずっと気になっていたんだが、綺麗な目をしているな。モテるだろ?」
「は?」
男性の動きがピタリと止まった。
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