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番外編国井さん、熱烈に口説かれる
「ねえさんの側に弓削がいれば鬼に金棒だ。心配ないな」
「ねえさんのためならこの命、喜んで差し出します」
「お前さんもねえさんが大好きだもんな」
「はい。でもオヤジには負けますがね」
Princess Barがテナントとして入る雑居ビルの近くに着くと弓削さんと伊澤さんの表情が急に険しくなった。
「サツの数、ハンパないですね」
「そうだな。とりあえずそこの居酒屋に入ろう」
たまたま視界に入った大衆酒場の赤提灯を見付け暖簾を潜ると、
「あれ、弓削さんだ。入院したと聞いて心配していたんだ。元気そうで良かった」
カウンターの席に座る男性に早速声を掛けられた。
「こだ所でいっきゃうなんて奇遇だな」
「知り合いか?」
「チンピラどもに因縁をつけられ拉致されそうになっていたから助けただけだ」
弓削さんがさらりと答えた。
「聞いてくださいよ。弓削さんってすごい人なんですよ」
男に捕まり延々と弓削さんの武勇伝の数々を聞かされることになってしまった伊澤さん。酔っ払いの相手をしつつも、常にPrincess Barのことを気に掛けていた。チカに万一のことがあったらなにがなんでも俺が守る。まだまだ腕は鈍ってはいない。若い者には負けない。
「ヤクザにしておくのが勿体ない人なんですよ。伊澤さん聞いてます?」
「あ、そうだな。すまんな、上の空で」
「しがないオッサンの話しを聞いてもらえるだけで嬉しいですよ。伊澤さん飲める口でしょう?なのになんで烏龍茶を飲んでいるんですか?」
「俺も弓削もまだ仕事中でな」
「弓削さんも伊澤さんも本当に真面目ですね」
「あんまり飲み過ぎるなよ」
その時パトカーのサイレンの音が聞こえてきた。
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