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番外編国井さん、熱烈に口説かれる

「チカ、お帰り。ずいぶんと遅かったな。何かあったんじゃないかって心配したぞ」 僕を起こさないように小声で話す彼。 「ゴメンネ。ちょっとした手違いがあったの」 「会長と紫さんも寝ないで待っていたんだぞ。二人に会ったらちゃんと礼を言っておけ」 「うん。分かったわ」 「チカ、右手を出せ」 「なんでわかったの?」 「何年お前の側にいたと思うんだ?ガキのときしょっちゅう怪我をするチカの手当ては俺の担当だっただろ?ほら、見せろ」 おずおずと右手を差し出すチカちゃん。握っていた手をそっと広げた。 「バイトの子かな?突然ナイフを振り回して大暴れしたのよ」 「サツに捕まったらまずい事情でもあったんだろう」 「救急箱を持ってきますね」 橘さんがすっと立ち上がった。 「あぁ、頼む。どうした?そんなにじろじろ見て。顔になにかついているのか?俺も人のことは言えた義理じゃないが、すぐ目の前にいる旦那に焼きもちを妬かれても知らないぞ」 「レパートリーが増えたとふと思っただけです」 「どういう意味だ?」 「そういう意味です」 ふふっと思わせぶりな笑みを浮かべると、橘さんは台所に向かった。

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