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番外編国井さん、熱烈に口説かれる

「今日一日一緒にいてくれる約束をしたのに、すぐに約束を破ろうとする弓削兄貴が悪いんですよ」 「俺はなにもまだ言ってねぇべ」 「顔にそう書いてあります」 「嘘こくな」 「嘘じゃありません」 弓削さんのうしろにまわりエプロンの紐を結ぶヤスさん。 「世話をやくのもやかれるのも俺だけにしてください。他所の男は駄目ですよ。弓削兄貴行きますよ」 ヤスさんがすたすたと歩きだした。 「ヤス、待ってくんちょ」 弓削さんが慌てて追いかけていった。 「俺ら何を見せられているんですかね」 佐治さんが呆気にとられていた。 「まだまだ青いな」 ハハハと伊澤さんが声を出して笑いだした。 「弓削はどっちなのかと、ふと思って……すまん」 顔を両手で覆う伊澤さん。頬が赤くなっていた。 「隣にいることが当たり前になっていて。根岸がいなくて寂しくて恋しいと思う日が来るとは。参ったな。これはかなり重症だ。オヤジ、聞かなかったことにしてください」 「今さらそう言われてもな。根岸を待ってないで迎えに行ったらどうだ?」 「優輝たちを頼むって根岸に言われたんだ。男の約束を早々に破るわけにはいかないだろ?」 「変なところが律儀というか、頑固というか……まぁ、俺も人のことは言えないがな。弓削のことだ。めんごい舎弟の言うことは素直に聞き入れるはずだ。伊澤さんを見ていたら俺まで恥ずかしくなってきた。参ったな」 彼が苦笑いを浮かべた。

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