4069 / 4076
番外編国井さん、熱烈に口説かれる
「何に苛立ってんだ?」
「苛立ってませんよ」
冷静を装いにこりと笑む柚原さん。
「父親代わりの弓削を弟分に嫁に出すんだ。色々と思うことがあるわな」
「ヤスはまだまだ半人前です。弓削を嫁にしたいなど100年早い」
「おめさんは相変わらず若いのには厳しいな。容赦がないな。でもそれがおめさんらしい」
伊澤さんがクククと笑った。
「あら、珍しい組み合わせね。朝から湿っぽい話をしていたらテンションただ下がりじゃないの?」
白いTシャツにジーンズというラフな格好でチカちゃんが姿を見せた。
「そろそろ出掛けるのか?」
「うん。でもダーリンのことが心配だからすぐ帰ってくるけどね。オッサンとさしで飲み明かす、溜まりに溜まった愚痴を聞いてもらう、この二つがまだだから」
ニカッと笑うチカちゃん。
「若い頃と比べて呑めなくなった。今は嗜む程度だ。俺より会長のほうがいいじゃないか?」
「寿さんとはこの前呑んだわ。帰省してもタイミングが合わなくて。なかなかオヤッサンと会えないんだもの。だから今回はオヤッサンと会えたからすごくラッキーだった」
「ずいぶんと嬉しいことを言ってくれるじゃねぇか」
「お世辞じゃなくて、本心だからね」
「分かってるよ。気を付けて帰るんだぞ。昨日の今日だ。一人で大丈夫か?」
「ハチが送ってくれることになったの。青空と飯坂に行く用事があるみたい」
「そうか。俺も行こうかな?青空の祖父母に挨拶がまだだから、東京に行く前に会いに行こうとは思ってはいたんだ。根岸と二人で挨拶に行くのが筋だろうが……」
「会いたいときに会いに行かないと次いつになるか分からない。会ってきたらどうだ?」
彼が伊澤さんの背中をそっと押した。
ともだちにシェアしよう!

