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番外編国井さん、熱烈に口説かれる
「すぐに答えられないくらい、未知さんと子供たちと過ごした日々のほうを大切にしているということです。夫婦円満で良かったですね。未知さんに愛想をつかれなくて本当に良かったですね」
「なんか言い方が刺々しくないか?」
「そうですか?気のせいですよ」
「そうは思わないんだが」
怪訝そうに首に傾げる彼。
「チカさんと伊澤さんが無事で良かったですね」
「ハチの出る幕がなかった」
「ミツオさんも無事で良かったですね」
「たまたま鞠家がすぐ近くにいたからな。危うく連れ去られるところだった。ミツオを人質にとられたらこっちは手も足も出ない。ミツオは大事な舎弟だからな」
「若い衆の一人か二人、切り捨てるのが普通なのに……」
「俺は上田や石山とは違う」
きっぱりと答える彼。
「ミツオさんが聞いていたら泣いて喜びますね」
橘さんが何かに気付き、顔を上げて庭のほうを見ると、ミツオさんが手の甲で涙をごしごしと拭っていた。隣にいた鞠家さんがこのくらいで泣くな。男だろう。しっかりしろと宥めていた。
ちょうどその頃伊澤さんは携帯電話の着信音が鳴るたびにため息をついていた。
「誰だ、根岸に余計なことを言ったのは」
「俺じゃないぞ」
運転手席に座りハンドルを握る蜂谷さんが答えると、
「俺でもないぞ」
助手席に座る青空さんもそう答えた。
「え?もしかしてアタシ?疑われている?」
チカちゃんがドキッとして聞き返した。
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