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番外編国井さん、熱烈に口説かれる
東京に向かっていた阪井組の一行が休憩のためサービスエリアに立ち寄ると異様な空気に包まれていた。
「オヤジ、若いのがサツに絡まれてます」
「こんな真っ昼間からサツに絡まれて。気の毒なもんだ」
「それにしてもあの若いの、堂々としていますよ」
「ただ者じゃないですよ」
「アイツは確か……」
目を凝らして警察官たちに絡まれているという若い男性の顔を見る組長の阪井さん。
「あっ」
驚いて思わず声が漏れた。
「オヤジ、知っているんですか?」
「知ってるもなにもアイツは縣一家の長男坊だ。後ろにいるのは卯月の婿だ」
「マジですか?」
「二人のツラを頭のなかに叩き込んでおけ。忘れるなよ」
「はい。すみません」
頭を深々と下げる若い舎弟。
「あれ、誰かと思えば阪井組の阪井さんではないですか。お久し振りです。こんなところでお会いするなんて奇遇ですね」
にっこりと微笑む信孝さん。
「俺の名前と組の名前をいちいち出さんでいい。めんどくさいことになるだろうが」
「ちなみにこの先のインタージェンジを下りたあたりで検問を行ってますよ。下りるなら次のインターチェンジをおすすめしますよ」
「丁寧にどうも」
軽く頭を下げる阪井さん。
今まさに信孝さんの腕を掴もうとしていた警察官たちの視線が今度は阪井さん一行に向けられた。菱沼組の連中と関わるとロクなことがない。やれやれとため息をついた。
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