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番外編国井さん、熱烈に口説かれる
「そんな物騒な組にうちのかわいい孫を嫁がせるわけにはいかないだろ?さっさと組長になれ、槇島を破門し反対勢力を一掃しろ、渋川にそう言っとけ」
「またまた無理難題を」
「渋川なら難なく出来るだろ?佐治への愛が本物ならな」
渡会さんと手塚さんのやり取りを佐治さんは顔を赤くして聞いていた。それを見た橘さんが、
「満更でもないようですね」
くすりと笑った。
「橘さん、俺、まだ決めてませんよ。だからからかわないで下さいよ」
「からかってなんかいませんよ。この際です。腹をくくったらどうです?」
「いや、それはちょっと……」
しどろもどろになりながら答える佐治さん。
「あ、そういえば柚原さんにそっくりな男をさっきネットニュースで見ました。他人の空似ですよね?オレンジのベストを着てインタビューに答えていました。普段から取材に慣れているのか、ハキハキとした態度で答えていました。でもまさか熊を駆除するために入った山中で人骨を見つけるとは。こんなこともあるんですね」
「その男は柚原さんで間違いないです。もしかしてご存知ありませんでしたか?てっきり渋川さんから聞いていると思っていましたが」
「組長代理は肝心要なことは言いません。佐治さんのことになると饒舌になり止まらなくなりますがね。そうですか、柚原さんでしたか。銃を構える顔といい、後ろ姿といい、まさに絵になるカッコ良さ。惚れ惚れします。泣かせたくなります」
「柚原さんは貴方の思いどおりにはなりませんよ」
「だからいいんじゃないですか。福島に帰る口実とひそかな楽しみが増えました」
ふふふとほくそ笑む手塚さん。
「橘にはどう頑張っても適わねぇのにな。喧嘩を売ってどうするんだ。あやまった男だ」
渡会さんが苦笑いを浮かべた。
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