4109 / 4115

番外編 信孝、愛してる

「信孝、愛してる」 手塚さんにがばっと抱きつかれ、不意打ちをくらい、バランスを崩してベットに倒れ込む信孝さん。 信孝さんのうぎぁ~という声に驚いたウーさんがすぐに戻ってきた。 「変な声を出して悪かった。酔っ払いの相手は慣れているから大丈夫だ」 笑って手を振る信孝さん。 本当に大丈夫?ウーさんは心配そうに何度もちらちらと振り返りながらも踵を返した。ドアを開けようとノブに手を置いたら勝手に開いたから驚くウーさん。 「あれ?ウーさん?」 ひょっこりと顔を出したのはナオさんだった。 咄嗟にウーさんがナオさんを止めようとしたら、 「うん、慣れてるから大丈夫だよ。斉木先生が待っているから早く行ってあげて」 にっこりと微笑むと手を振りウーさんを見送った。 「橘はダメだぞ。柚原はもっとダメだぞ」 「まだなにも言ってないよ」 ぷぷっと笑うナオさん。顔は笑っていても目は笑っていなかった。 「橘さん、そんなに怖いの?」 「ナオがいちばんよく分かるだろ?」 「橘さん、いちばん優しいのにな……変なの」 ナオさんがベットの端に腰を下ろした。 「それはナオだから。未知のママ友だし……」 タジタジになりながらも言葉を返す信孝さん。額からは汗がだらだらと流れていた。手塚さんに抱きつかれ暑さのせいではない。冷や汗だ。 「手塚さんだっけ?この人」 「あぁ、手塚だ。ナオは会うのは初めてか?」 「ううん、未知さんに会いに行ったら手塚さんのほうから声をかけてくれてね。すごく丁寧に挨拶をしてくれた。うちの佐治が世話になってますって。うちのって佐治さんは宇賀神組の構成員じゃなくて菱沼組の構成員なのに。この人、何を言ってるのかなって。それにぜんぜん世話をしていないのに変な人だなって。ヤバイ人なのかなって」 「そうか。ナオもそう思ったか。実は俺もなんだ」 信孝さんがクククと笑い出した。

ともだちにシェアしよう!