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番外編 信孝、愛してる
「黒い金か?」
「恐らくな」
「おおかた槇島の尻拭いをさせられているんだろうよ。下っ端は大変だな。それにしてもよく寝ている。平和な面をして、こっちの苦労なんか知らないのがちょっとムカつくがな」
宋さんが寝ている手塚さんを起こさないように静かに隣に横になった。
「この金、菱沼金融の金庫に預けてくる。ソイツを頼むな」
「任せておけ」
手を振る宋さん。
「くれぐれも正体に気付かれるなよ」
「分かってるよ。心配してくれてありがとう。あとで頭をナデナデしてやる」
「いや、遠慮しておく。でもその気持ちだけはありがたく受け取っておく」
信孝さんは鞄を脇に抱えてあたりをキョロキョロと見回しながら部屋の外に出るとエレベーターに急いで向かった。
「遥琉さんどうしたの?」
「陽葵は寝たのか?」
「うん、太惺と心望がやっと寝たと思ったら、陽葵が起きて、なかなか寝てくれなくて。さすがに疲れた」
「お疲れ様。おいで未知」
彼に手招きされ隣にごろんと横になると、
「もっとねっぱったらいいだろう」
逞しい腕が腰に回ってきて。彼の方に抱き寄せられると、おでこにチュッと軽くキスをされた。
「心配事か?」
顔をじっと見詰められた。
「なんで分かったの?」
「分かるよ。何年一緒にいるんだ?」
「手塚さん、無事かなって……」
焼きもちを妬かれないかヒヤヒヤした。
「たまにはお灸を据えることも必要不可欠だ。手塚もこれに懲りてほどほどに酒を飲むようになるんじゃないか」
「そうだといいけど。まわりに迷惑をかけてばかりいるとアイツはって後ろ指を指されるようになるから」
「そうだな」
彼にぎゅっと抱き締められた。
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