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番外編 信孝、愛してる

「柚原さん、貴方の伴侶にこの金を託します。所詮は世に出せない汚い金です。被害者の方々とは示談金を払うことを条件に和解したのに、いまだ一円たりとも払っていません」 「上納金だろ?これ。面倒事だけはごめんだ」 「はなからなかったことにすればいいんですよ。持ち主が亡くなる前からほぼ空き家で荒れ放題でしたからね。あの通り外見だけは立派なので何度か空き巣に入られていますし」 けろっと答える手塚さん。まるで他人事のようだ。 「被害者リストは?」 「全部鞄のなかに入ってます。お任せしても宜しいですか?」 「まずは本人に聞くのが筋だ」 「そうですね」 手塚さんがチラチラと奥の部屋を何度か見た。 彼がいることに気付いたのかもしれない。 「オヤジは組事務所に向かった。残念だったな」 「会いにいけばいいだけでしょう」 鞄を柚原さんに渡し、肩の荷が下りたのか、晴れ晴れとした表情になる手塚さん。 「現金なヤツだ。さっきまでは死にそうなツラだったのに」 鞠家さんがくすりと苦笑いを浮かべた。 「卯月さん待ってください」 手塚さんが慌てて立ち上がり彼のあとを追いかけていった。 「ごめん、ぶつからなかったか?そうか良かった」 ドアを開けたときに誰かと鉢合わせになったみたいで手塚さんの謝る声が聞こえてきた。

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