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番外編 災難続きの信孝さん

「おぃ、イッチ」 菱沼金融を飛び出し人混みに向かい走り出す鞠家さん。警備を担当していた五人の若い衆のうち、二人が何事かと慌てて追いかけた。 「カシラ、足が速いです」 「速すぎます。知り合いでもいたんですか?」 なんとか追い付く二人。肩で息をつきながら呼吸を整えた。日がかんかんと照っていて汗が次から次に吹き出してくる。 「悪かったな、いきなり走り出して。菱沼金融を覗き込んでいた男が知り合いによく似ていたんだ。どうやら他の空似だったようだ。そもそも東京にいるはずのアイツが福島にいるはずがないからな」 「覗き込んでいたって、それほんとうですか?」 「四季さん一人にして大丈夫なんですか?何かあってからでは遅いですよ」 「柚原に至急戻るように頼んだ」 「それなら安心です」 「柚原さんがいれば鬼に金棒です」 ほっとして胸を撫で下ろす二人。 「なぁ、お前ら、遠慮せずに正直に答えてほしい。手塚をどう思う?」 「どう思うっていきなり聞かれても……」 返答に困る二人。 「つまり俺が聞きたいのは、嘘つきか馬鹿正直かだ」 「手塚って飼い主によく似てますよね」 「決して本音を見せない秘密主義。何を考えているか分からないので気味が悪いです」 「そうか、お前らもそう思ったか」 顎に手をおいて相槌をうつ鞠家さん。

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