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番外編 災難続きの信孝さん
「四季は弓削兄貴のこと、怖くないのか?」
「最初は怖そうだなって思っていたんですけど、実際に話しをしてみたら若いのにすごく訛っていて、意味が分からなくて。たまにちんぷんかんぷんになるけど面白い人だなって。うんと年下の僕にも気を遣ってくれたりして。いい人ですよね」
「だばい。あっ……」
ヤスさんが気まずそうに苦笑いを浮かべた。
「夫婦は似てくるって本当だな」
「柚原さん、茶化さないでください」
「茶化していない。ヤスなら大丈夫だ」
「何が大丈夫なんですか?話しをそらさないでください」
「そらしてない」
クククと愉しそうに笑う柚原さん。でも何かに気付き、しーと小声で言いながら人差し指を唇の前に立てた。
足音を立てずに静かにドアに近付く柚原さん。四季さんに奥の部屋に行くように指示をするヤスさん。
「盗み聞きとはな。なかなかいい度胸をしているな。客なら客らしくチャイムを鳴らしたらどうだ?」
ドアを勢いよく開けてそこに立っていた作業着姿の男をじろりと睨み付けた。
「盗み聞きなんてしていません。誤解です」
丸めた競馬新聞を握り締めたその男は首を横に振りながら必死に否定した。
「神政会が菱沼金融に刺客を寄越したみたいですよ。楮山組の幹部の幹部の名前を騙っていたみたいですが柚原さんの目は誤魔化せません」
「四季さんは?無事なんですよね?」
「ヤスさんが機転をきかせて一緒に外に逃げ出したみたいです」
「良かった無事で……」
ホッとして胸を撫で下ろした。ヤスさんが四季さんの側にいてくれるなら鬼に金棒だ。心配はない。
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