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番外編 災難続きの信孝さん

「未知さん、イッチという名前に心当たりがありますか?」 「イッチですか?はじめて聞く名前です」 「そうですか」 「橘さん、そのイッチという人は何か悪いことをしたんですか?」 「いえまだです。でもこれからするかもしれませんよ。イッチという方は鞠家さんのお知り合いみたいです」 「あ、もしかして……昔お付き合いされていた方とかですか?」 橘さんがぷぷっと笑いだした。変なことを聞いてしまったと後悔しても後の祭りだった。 「未知さんもナオさんと同じことを考えているんだなと思っただけです。似た者同士の伴侶も似た者同士になるんですね」 言っている意味がよく分からなくて。きょとんとすると、その反応を楽しむかのようにクスクスと笑われてしまった。 洗濯物を畳んでいた手を止めたまま。上の空で、完全に心ここに在らず状態な紗智さんに大丈夫?喧嘩でもした?と声を掛ける那和さん。 「高行さん、モテるから」 「何言ってるの。紗智しか見てないよ」 「そうかな」 「そうだよ。だから元気を出して。帰ってきたら直接聞いたら?僕も亜優もいるから、ね?」 「うん、分かった」 大きく頷く紗智さん。ようやく笑顔が戻った。 「こだ早く紗智の耳に入るとは。いやぁ、たまげだ」 「弓削さん、余計なことはしてませんよね?」 橘さんに睨まれ、 「するわけねぇべした。だからそだに睨まねぇでくれ」 たじたじになっていた。 「橘がますますおっかなくなってるのは気のせいか?」 「何か言いましたか?」 「独り言だ。何も言ってねぇぞ、俺は。ねえさん、出直してきます」 そそくさと逃げ出した。 「弓削さんって面白いですね」 橘さんがクスクスと笑いだした。弓削さんとペアで仕立ててもらった浴衣がやっと届いたから渡そうと思ったのに。落ち着いたシックな藍色の浴衣、気に入ってくれるといいんだけどな。

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