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番外編 災難続きの信孝さん

「弓削さんだ」 弓削さんの姿を見かけた若い衆たちが駆け寄った。 「なじょした?」 「うちらの縄張《シマ》に、神政会の企業舎弟が金融の看板を上げたと噂になっているんです」 「弓削さんなら分かるかなと」 「摘発を恐れたコウナン商事が名前を変えただけだ。おめさんらも知っている通り神政会はイケイケだからな。関わらないほうがいい」 「はい。肝に銘じます」 背筋をピンと伸ばし、若い衆たちが一斉に返事をした。 「カドタさんと共同経営者とされる女はSNSで派手な暮らしぶりを自慢するような投稿ばかりしているから税務署から目をつけられるんです。自分から税務調査をしてくれと言っているようなものです」 白雪美容室があったテナントビルの所有権はいつの間にか神政会のフロント企業と噂になっている外資系の投資会社に移っていた。放火で死人が出て、幽霊騒ぎもあったりで、なかなか買い手がつかないと彼から聞いてはいたけれど。 「事故物件ですからね。相場よりかなり安い金額で購入したのでしょうね。たて壊して新たなビルを建築する予定で申請したものの、行政からの許可が下りないみたいです。それもそうですよね。火の無い所に煙は立たぬとよくいいますし」 「結局何一つ分からないまま。迷宮入りですね」 「ある意味白雪さん夫婦にとってそれで良かったのかもしれませんよ。不名誉な過去をこれ以上詮索されることはないでしょうから。安らかに成仏してほしいものです。そうすれば自然と幽霊騒ぎは落ち着くはずですから」 橘さんがカドタさんのアカウトはこれかもと、SNSを見せてくれた。ハンドルネームは違うけどいくつものアカウトを持っているみたいだった。女性の名前もあった。

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