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第6話

律との出会いは幼稚園入園前。物心付いた時から、お隣さん。 逆上がり、泳ぎ、自転車の補助輪外し、サッカーやゲーム、俺に教えてくれたのは律だった。 お互い一人っ子。親同士も仲が良くて夕飯を一緒に食べたり家でバーベキューしたり、律とは兄弟みたいに育った。 俺が4年生の時、律の両親が焼きたてパン屋を開業、引っ越しする事が決まり…… 子供だった俺は祝ってあげる事もできず、律との別れが辛くて毎日、泣いて両親と律や家族を困らせた。 悲しくて見送りできなかった俺に親から手渡されたのは律からの手紙。 ーーーー トラへ。 今までありがとう。一人っ子だったから弟ができたみたいでうれしかったよ。 引っこしはさびしいけど、おたがいがんばろうな。また会える日を楽しみにしてるね。 律より ーーーー 慌てて家のカーテンを開ける。引っ越しのトラックはすでに見えなかった。 『ありがとう』は俺のセリフだよ。引っ越しはどうにもならない事だとは頭のどこかで分かってた。ごめんね。最後まで泣いてばかりで…… 『またね』も『元気で』も何も言えなかった。 …………淡い恋心。 気付いたのは律と離れてから。 大泣きした後、涙を拭った。 将来は律のお父さんの店で働こう!いっぱい勉強して大人になったら律と一緒に働くんだ。 それがこの道を選んだキッカケ。

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