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第7話
「トラと同い年の子もいるよ。バリスタライセンスと紅茶コーディネーターの資格あり。ラテアート、フレーバーコーヒーと紅茶も店の看板にするつもりなんだ。専攻はカフェバリスタ。製菓やパン、軽食も実習で勉強してて調理師の資格も持ってるんだって!」
律、なんかキラキラしてる……
笑顔になるとタレ目になるとこ、変わってないなぁ……
続々とスタッフの人が集まってきた。
「さっき言ってたバリスタの人、まだ来てないの?」
同い年のスタッフが気になり、尋ねてみる。
「まだ約束の時間20分前だしね。」
カランカラン……
鈴がなり、入口を見る。
「こんにちは。今日からお世話になります。」
黒髪で背の高い男が頭を下げた。
バッ!
急いで入口に背を向ける。
…………え!?今のって。
「やぁ。赤坂君。今日からよろしくね。
じゃ、皆で改めて自己紹介しよう。」
律が声をかけてる。
…………あ……赤坂?
聞き覚えのある名前と声に動揺が隠せない。
近くに来ただけでコーヒーの香り。俺の隣に座った男をちらりと見る。
切れ長の目。
男のくせに色気のある低音ボイス……
ソイツと目が合う。
「…………虎!なんで、ここに。」
や、やっぱり……!
見知った顔に体温が下がり、冷や汗が吹き出す。
「まさか、お前もスタッフ……?」
……嘘……だろ。どうして……
そこにいたのは俺のファーストキスを奪い曝 しものにした男だった。
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