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第4話

眼鏡をコンタクトにして生まれて初めて床屋じゃなくて美容院を予約した。髪を切り、カラーリングしてもらうとなんだか自分じゃないみたい…… 恥ずかしながら、大学デビューを通り越して社会人デビュー。 「お客様。垢抜けましたね!」 スタイリストさんが笑顔で言ってくれた。 鏡の前の自分を見て気持ちを新たにする。 就職先は焼きたてパンやケーキ、軽食が楽しめるオープン間近のカフェ。 店長は一人っ子だった俺の兄のような存在で昔、実家の隣に住んでいた4つ上の優しい幼馴染 (りつ)。 …………実は初恋の人だったりする。 小学生の時に律が引っ越しした時は悲しくて大泣きしたっけ…… 律とは時々、電話やメールで近況を知らせ合っていた。年齢と共にそれは減ったけど、律が俺にとって大きな存在である事は今も変わらない。 専門に入ってすぐ、カフェ開業の話をしてくれ、『一緒に働かないか?』と言われた時はまるでプロポーズをされたような気分だった。 いつかはパンか製菓に関わる職場に就職したいと考えてたし…… パン職人として働きながら、焼き菓子やケーキ作りもして欲しいとの誘い。勉強してる製菓の技術も活かせる。 それに律と一緒に働ける……! 律は今、24歳。 変わっただろうか…… ドキドキしながら店のドアを開いた。

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