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第3話
生まれて初めての悔し泣き。
流石にからかい過ぎたと思って謝ってくる奴、心配してくれた友人から電話やメールをもらったけど、全部無視した。
あんなの知られて今まで通りにはいられない。っていうか、絶対に気持ち悪いって皆に思われた。クラスメートにキスされて勃つなんて……
初恋は男。過去、いいな……と思う人は皆、同姓だった。ずっと隠してた俺の秘密。
麗人からも連絡きたけど、徹底的に無視。着信拒否設定してラ□ンはアカウントブロック。
一生の不覚。
封印したい記憶。
悲しすぎる思い出。
恥ずかしくて高校の友人から連絡が来ても結局、一度も返さなかった。
進学は製菓製パンの専門学校、パティシエ※ブーランジェ科。幸いな事に同じ高校の奴は一人もいない。
大丈夫。やり直せる……
でも……なんの因果か、繰り返されるワンシーン。3番のくじを引いてしまいキスされて皆に笑われる。
事あるごとに見てしまう夢。
変えられない結末。
ガバッ……
起き上がる。
そこは引っ越したばかりの自分のアパートだった。
………………なんだ。夢か。
眠い眼を擦る。
幸先悪いな……
仕事初日にこんな夢見るなんて。
今日から新生活が始まるからナーバスになってるのかも……
親元を離れて初めての一人暮らし。今日から俺も社会人。
気を取り直し、顔を洗った。
…………そうだ。昔の事なんてどうでもいい。
あんな奴の事で悩むとか馬鹿げてる。
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※ブーランジェ…フランス語でパン職人の事
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