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第5話

ギルドでポーター登録をしてタバクさんに挨拶した。とは言え2週間の猶予があるのでまだ10日ほど働く予定だ。 リーフ様のポーターになる、と言ったら常連さん達が様々な反応を見せた。 エルフの美的感覚は変だとか、中身を見てくれたんだろうとか、俺は元からかわいいとか。ガチムチから見れば小さいからかわいい……か? モテはしないがみんな好意的ではあるので良しとしよう。 そして帰って来た両親はのほほんと応援してくれた。 「エルフ様のお供なんて光栄だな。なんなら愛人にしてもらえよ?」 「お父さんたらエルフ様に愛人制度なんてないわよ」 「そりゃ残念。けど伴侶なんて無理だろうしなぁ。はっはっはっはっ」 我が親ながら失礼だな! その通りだけど。 勘違いしそうになったけど伴侶じゃなくてマスコット! ……いやそれも図々しい。まぁリーフ様のお顔を眺められるんなら召使いだって大喜びで務めさせていただきます! 食堂の仕事を終え、旅に必要な物を買おうと考える。何が必要だろう? 明日にでも暇な冒険者を捕まえて教えてもらおう。 「イーノ!」 「え? リーフ様? 2週間後って言ってませんでした?」 「イーノの旅支度を手伝おうと大急ぎで戻って来たんだ」 ギルドで暇な人を探そうと顔を出しに来た所、まさかのリーフ様登場。しかもごつい男前と一緒だ。俺と同じくらいの歳かな? 「ほー、この子が噂のイーノ……って、大人じゃないか! しかも男かよ」 「……どちら様ですか?」 なんだか賑やかな男前だけど、リーフ様、俺の事なんて説明したんだろう? エルフ的には30歳なんて子供だって言ってたから誤解させちゃったのかな。でもポーターなのに女の子だと思い込んでたなんて、ちょっとおっちょこちょい? 「オレはリーフの相棒で剣士のエスグリだ。気を悪くしたなら悪かった。リーフが可愛い子とパーティーを組む、なんて言うもんだからさ」 「かわいくないおっさんですみません。でもポーターが女の子って事はないでしょう?」 「いや、若いハーフジャイアントなら可能性あるかと思ってな」 なるほどハーフジャイアントの可能性か。 「誰が相棒ですか。依頼によって時折パーティーを組んでるだけです。イーノ、エスグリの事は無視して構いませんから」 「でも……」 「旅の支度はどうですか? バッグと服と食器とテントは支給しますから持って行く物を選びましょう」 「……リーフ、おまえ……」 何だかんだでしばらくエスグリさんも一緒に行動するそうなので2人を連れて家に行く。部屋で持ち物を選ぶのだ。狭くてすみません。 2人でも狭いおれの部屋にガタイの良いエスグリさんまでいるととても狭い。荷物はベッドの上に広げるしかないな。椅子もないのでダイニングから持って来ようとしたら両親がエスグリさんをもてなしたいと言う。 ……ありがたいけど新しいイケメンを眺めたいだけだな? ーー リーフ side ーー 討伐採集した品を届けてとって返そうとしたら名指しで依頼が入った。樹海の風穴の奥までの護衛だ。樹海なら帰りにイーノを迎えに行けるし、護衛はこの町までと条件を付けて引き受けたのだが……。 まさかエスグリがこちらに付いてくるなんて想定外だった。常なら向こうまで護衛を続けるだろうに……。 不満ではあったが追い返すのも時間が惜しいので共にイーノの家に行ったらご両親がエスグリをもてなすと言ってイーノの部屋から連れ出してくれた。ありがたい。選別のためにイーノのベッドに荷物を広げた。 「イーノ、他に必要なものがあれば用意するから言ってくれ」 「あの、そのバッグって言うかリュック…… こんなに入るんですか?」 「亜空間収納バッグ。見た目の10倍程度入る」 「10倍!? すごい!! 高そうですね……」 小さな馬車1台くらいか? だが馬車が入れない道を通れるようになるし、遥かに有用だ。ただし、生き物は入れられないから家畜や捕獲した魔獣を運ぶには使えない。 イーノの両親は行商をしているのに持っていないのか。 「ポーターには必要な物だ。これを背負って戦う事は出来ないからな」 「なるほど、それで俺が役に立てるんですね」 「そうだ。それからこのベルトは物理防御と魔法防御が付与されているから必ず着けていてくれ」 「はい! 大切な荷物を守ります!」 「荷物より、イーノの命が大切だ。いざとなったら荷物を捨ててでも身を守ってくれ」 「それじゃポーター失格ですよ」 冗談だと思ったのか無邪気に笑っている。……私の本気は時間をかけて教えていこう。 用意した服が上質だ、こんなに詰めてもバッグが軽い、とはしゃぐイーノに和む。 「こんなに準備していただいてありがとうございます。俺、頑張ります!」 「足りない物はないか? あったらすぐに言ってくれ」 「はい!」 他に携帯食料、水袋、ポーションに毒消し。時が止まる訳ではないが腐りにくくなるので腐敗止めになる樹皮で包めば相乗効果により生ものもかなり保つ。香油は当分出番がなさそうなのでしまっておいた。

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