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第7話 *
恥ずかしくて、拒絶したいはず。
なのに、先輩によってジワジワと与えられる快感から、勝手に先走りの液が零れる。
「随分とスケベになったな。それとも、俺が知らなかっただけか?」
「せ、先輩っ、扱いちゃ……だめ、んっ!」
僕のを扱く先輩の手を、冷たいと感じなくなってきた。
それは、僕の熱によって先輩の手が温まってしまったからだ。
そんなこと、分かってる。
だからこそ余計に、体が熱くなってきた。
「先輩、せんぱい……っ。だめ、僕……っ!」
内腿が、震える。
頭の中が溶けてしまいそう。
それほど、先輩から与えられる快楽のことしか、考えられない。
(このまま、先輩の手で……っ)
そう思った、瞬間。
「んっ、あ、あぁっ!」
僕の体は、大きく跳ねた。
ベッドの上で両手を拘束されて、大好きな先輩の手によって呆気なく……射精、させられる。
「凄いな。禁欲でもしてたのか?」
「はぁ、あ……っ。そんなこと、言わないでください……っ」
絶頂による疲労で、息も絶え絶えに答えた僕を……先輩がどう思ったのかは、分からない。
先輩は、僕から手を離す。
(終わった……?)
なんて、言おう。
どんな顔で、振り返ったらいいの。
僕はそう、考えあぐねる。
そんな中、また先輩の手が伸びてきた。
――でも、それは前じゃない。
「……ッ! せ、先輩っ! そこは……っ!」
先輩が、指を這わせているのは。
――僕の、お尻だ。
「何だ?」
先輩は、不思議そうな声を出す。
が、指は止まらない。
「『何だ』って、先輩……あっ!」
「へぇ……結構キツいんだな」
不思議なのは僕の方だ。
それなのに、先輩は興味深そうにゆっくりと、僕のお尻に指を挿れる。
「はっ、あ……んんっ!」
「初めて……とは思えないくらい好さそうにしてるが、自分で弄ったことでも?」
「そんな、こと……んぁっ!」
先輩のことが好きだと、自覚してから。
男同士の恋愛について、僕は調べた。
そして、男同士はお尻を使ってエッチなことをすると知った僕は……。
――【叶わない恋】だと、分かっていながら。
――先輩を想って、お尻を使って自慰行為をしたこともある。
それが、まさかこんなところで仇となるなんて……。
予測できるわけ、ないじゃないか……。
先輩の細く長い指が、二本、三本と本数を増やして、僕の内側を蹂躙する。
あろうことか先輩は、僕がさっき吐き出した精液を潤滑剤代わりに使っているようだ。
「あ、んっ! だめ、だめです、先輩っ!」
指を根元まで挿入されて、意識がお尻にしか向けられない。
(指、気持ちいい……っ)
そう思うと同時に、先輩が僕の上で笑った。
「ははっ。日達、随分と好さそうだな」
「な、なにを――」
「さっきから何回も締め付けてきて、とんだ淫乱な後輩だ」
「っ!」
その言葉に。
思わず、背中が跳ねた。
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