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第8話 *

 無意識のうちに、先輩の指を締め付けていたなんて……。  あまりにも、恥ずかしい。  先輩はひとしきり笑った後、指を全て引き抜いた。 「物欲しそうにひくついてるが、故意か? それとも無意識?」 「やだ、いやです……っ。そんなこと、言わないでください……っ」  先輩を、振り返れない。  体が熱くて、さっき射精したばかりのあそこがまた硬くなってきているのは、気付いている。 (このまま、先輩に……っ)  そう、僕が思うのと。  ――さっきまで先輩の指が入っていたところに、熱くて硬いなにかが押し付けられたのは。  ――ほぼ、同時だった。 「え……っ、先輩、うそ……待っ――」 「待たない」  僕の言葉を、先輩は遮る。  指よりも圧倒的に大きくて、太い……先輩の、熱。  それが、僕のナカにゆっくりと……挿入、される。  ――その感覚に、体が震えた。 「あっ、あ……っ! はぁっ、ん……っ!」 「く……ッ! キッツ……ッ」 「せんぱい、せんぱ、あっ!」  あんなに冷たい手を感じた後、だからだろうか。  先輩の逸物が、やけに熱く感じる。  大きくて、熱くて。  そんな先輩に、犯されている。  この状況で、自分自身の手によって慣らしたことのある部分が、感じないわけがなかった。 (凄い、先輩の……気持ちいいっ)  さっきの指のときも思ったが、自分で弄るのとは比べ物にならない。  先輩の熱が僕の内側を擦る度に、嬌声のような声が漏れる。 「あ、んんっ! せんぱ、せんぱいっ!」  深く、突かれ。  浅いところまで抜かれ、そしてまた深く。  その繰り返しに、体はどんどん熱を帯びていく。  そんな僕の顔に、先輩の手が伸びる。 「お前は相変わらず、可愛いな」 「え……っ? ……んんっ!」  ベッドに押し付けていた顔を、少し浮かされた。  後ろを振り返るよう僕の顎に添えられた、先輩の手。  されるがまま振り返ると、先輩の顔が近寄ってくる。 (嘘……先輩と、キス……っ!)  不意に、唇が重ねられ。  何故か……涙が、零れた。 「あ、ふぁ……んんっ!」  最初は、触れるだけのキス。  もう一度唇が重ねられると、今度は口腔に先輩の舌がねじ込まれる。 「んんっ、ふ……んっ!」  少し乱暴で、苦しい。  でも、そんなキスが先輩らしくて。  今、僕を抱いているのは間違い無く先輩なんだと……再認識、する。 「……高校のとき」  唇が離れ。  吐息が触れてしまうほどの距離で、先輩が囁いた。 「俺はお前以外の誰を見ても、可愛いだとか触れたいとか……そんな風に思ったことはなかった」  ゆっくりと、先輩の熱が引き抜かれていく。 「本当はお前が高校を卒業する前から、住み込みでこの部屋に来てほしかった。だが、メディア化だとかインタビューだとかでお前に連絡をする時間が作れなかった」 「あ……っ!」  引き抜かれたかと思うと、一気にまた根元まで深々と突かれる。 「ずっと、お前とこうしたかった。俺より全然小柄で、そのくせいつも一生懸命で、ちょっと抜けてるお前のことが、俺はずっと……ッ!」 「あ、あっ! せんぱ――ふぁ、っ!」  先輩の、言葉に。  先輩の動きに……感情が、昂った。

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