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③16歳。はじまりは突然で…。
「はい、亜瑠兎」
可愛い花がそこらじゅうに散らばっているような雰囲気をかもしだしている、ふくよかな体型の母さんは人好きのする陽気な性格だ。
その母さんは水色の大きな袋を俺に差し出した。
「花音、誕生日おめでとう」
対する父さんは落ち着いた雰囲気で、母さんよりもずっと細い体型をしている。
その父さんは桃色の大きな袋を花音に渡した。
「開けてみて?」
「中を見てくれ」
母さんと父さんがプレゼントを早く開けろと俺たちを促す。
二人はリハーサルでもしているかのように声をそろえた。
二人とも夫婦仲が良すぎだろ?
さすがは双子の親ともいうべきか……。
どうやら花音も思っていることは俺と同じらしい。
俺と花音はそんなふたりに苦笑しながらガサゴソと渡された袋を開けた。
すると中から出てきたのは黒のスーツと真っ赤な蝶ネクタイ。
どこぞの坊ちゃまですか的な服が一着ーー。
「…………」
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