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⑥16歳。はじまりは突然で…。
そこへ母さんがまたまた口を開いた。
「お父様の遺言なんだもの。仕方ないじゃない……ってあら? どうしたの二人とも。もしかして言ってなかったかしら?」
硬直する俺と花音をよそに、母さんは瞬きを繰り返し、交互に見つめ返してくる。
「誰と誰が?」
花音が開きっぱなしの口をなんとか元に戻し、口を動かした。
俺はますます眉間に皺を寄せ、母さんと父さん――そして自分の手元にある礼服を見る。
「もちろん、花音と葉桜 月夜 くんよ」
母さんはにっこりと満面の笑顔を浮かべ、さも当たり前のように胸張ってそう言った。
――なぁ、母さん。
だけどその人……。
いったい……。
誰ですか?
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