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④水も滴るーーいい男?
そして両親からのとどめ――。
『許婚を決める相手方の気持ちもあるだろう? お前が相手方に気に入られなければいいだけの話だ』と――。
つまり、こういうことだ。
花音のふりをした俺は、葉桜 月夜 と挨拶を交わし、彼に嫌われるような行いをわざとすれば、この件は破談になる。
そうすれば俺は晴れてこの忌 まわしい女装劇から解き放たれ、如 いては欲しいものを手に入れることができる。
あと、ついでに言うなら、花音も堂々と好きな奴を想っていられる。
……ということだ。
なんで俺がそんなことをしなきゃならないんだよってそう思うけど、まあ、こうなったことは仕方ない。
何でも好きなものを買ってくれると父さんが約束してくれたし、相手に嫌われれば良いだけのこと。
楽勝楽勝!!
今日一日くらい花音を演じきってやろうじゃないか。
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