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⑤水も滴るーーいい男?

 俺は決意を新たに背筋をピンと伸ばし、相手が現れるのを待つ。  するとタイミング良く、ここの料亭の仲居さんが、葉桜一家がやって来たことを告げに来た。  俺はローテーブルの下で伸ばしていた足を慌てて整え、正座する。  初めから行儀悪くするのもいいが、そんなことをすれば俺が端からこの縁談を壊す気満々だと悟られてしまう。  そうなれば訴えられることだって考えられるし……。  これは相手に失礼のないよう、事の成り行きを冷静に見極め、破談にもっていくしかない。  俺が姿勢を正すのとほぼ同時に、障子がそっと開く……。  まずはじめに入ってきたのは、おそらくは華道家葉桜流の当主だろう、葉桜 嘉門(はざくら かもん)。  雰囲気はいかにも華道家の家柄ですって感じ。  怖くて頑固そう。  黒の和装をした40代半ばの男性だ。

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