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⑨水も滴るーーいい男?

 当主として、そして一家の主として、嘉門さんの自己紹介が終わった直後、見計らったかのように鹿威しがカコンッと鳴った。  淡々とした嘉門さんの紹介を受けた奥さんと月夜は、小さく会釈した。 「わたくしは、篠崎 昭雄(しのざき あきお)と申します。妻の(かおる)と、兄の亜瑠兎。そしてこの子が亜瑠兎の双子の妹、花音です」  嘉門さんに続いて話したのは父さんだ。  こちら側も父さんの紹介に合わせて会釈した。 「……ふふ。花音さんのことは亡きお祖父様からよくお伺いしておりました。本当におかわいらしいですのね」  早苗さんは小振りの赤い唇をマニキュアさえ塗っていない綺麗な指で隠し、俺の方を見て微笑んだ。  本来ならば綺麗な女性に容姿を褒められたんだ。嬉しいと思うだろう。  ――だが、俺は違う。

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