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⑫水も滴るーーいい男?
当然、母さんも父さんと同じ意見だろうから異論はない。
亜瑠兎に変装した花音もむろん、抗議するわけがない。
それで俺は……っていうと――。
意義アリまくり。
当然だろう?
何が悲しくて野郎と同棲なんかしなくちゃならないわけ?
だけどここで反論したって理由なんて言えるわけがない。
よって反論する人間は誰もいない。
ここにいる誰しもが嘉門さんの提案に頷くしかなかった。
「ふむ、では、これで決まりだ」
「嘉門さん! ちょっと待ってください!! 一緒に住むって……家とかそういうのはどうするんですか?」
せめてこれだけは知りたい。
俺はまるで小学生が先生に質問をする時のように身を乗り出して、「はい」っと大きく手を上げた。
そんな俺の姿に父さんは咳払いをして、母さんは、「花音!!」と注意してくる。
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