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②同意を求められて

 そりゃね、池の鯉みたいに優雅に遊びたいって思ったさ。  だけど、池に入って鯉と一緒に泳ぎたいなんて思ってない。  ……ああっ! 恥ずかしい。  月夜には無様なところしか見せてないような気がする。  ……って、あれ?  いや、待てよ? 別にそれでいいんじゃないか?  そもそも俺は月夜に気に入られるためにここにいるんじゃない。  許婚を放棄してほしくてここにいるわけで……。  そう、そうだ!  月夜にはきっと、俺がいかに間抜けでおっちょこちょいなのかを知ってもらえたはずだ。  池の水を被るというとばっちりまで受けたんだ。  俺は華道家の妻に相応しくないと身をもって知っただろう。  ……これで月夜とも会わなくていい。  そう思えば――。  ――あれ? なんだこれ?  胸がジクジク痛い。  どうして?  月夜とはこれで終わりだって思ったら、急に胸が痛み出す。

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