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③似た者同士
「……なあ、月夜」
月夜は振り向き、俺を視界に入れると、目を大きく見開いて優しい笑みをつくった。
……トクン。
なぜだろう。
月夜の視線を受け止めただけで、俺の心臓が跳ねる。
……俺、本当にどうしちゃったんだ?
月夜といると、なんでこんなに胸が締めつけられたり、心臓が跳ねたりするんだろう。
だけど疑問に対する回答は返ってはこない。
俺は自分の考えを打ち消すため首を振った。
そうすると、おもいきり水気を吸った髪から雫がボタボタと肩に落ちた。
あ~あ、床が濡れる。
髪も適当に拭いただけだったからな……。
なんて思っていると、にこやかだった月夜の表情は一変する。
彼は顔をしかめた。
……なんだ?
俺は笑顔が消えた月夜に小首を傾げた。
すると月夜は眉根を寄せて無造作に立ち上がる。
「月夜?」
いったいどこに?
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