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⑥似た者同士
――正直に言おう。
ものすごく気持ちがいい。
思わず眠ってしまいそうになるくらい。
俺はソファーへと寄りかかり、目を閉じた。
「……なあ、月夜」
あまりの心地よさに、俺の声は猫なで声になってしまう。
「うん?」
そんなおかしな声に、月夜は笑いもせず優しく訊 ねてくる。
「やっぱり、一緒に寝よう」
俺の言葉を聞いた途端、月夜の手が止まった。
「花音 ……」
ため息混じりの声で、月夜は偽りの名を呼ぶ。
月夜の顔は見えないけれど、たぶん呆れているんだろう。
『数時間前のことをまだ根に持っているのか』と思っているだろう、声のトーンでよくわかる。
だけどさ、俺だって意見を曲げない。
月夜が、『うん』と頷 くまで何度だって言い続けてやる!!
「ここに座ったら、言うことをきいてくれるんだよな?」
「……それは……。でもね、それとこれとは……」
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