74 / 305

⑦似た者同士

「違わない。わたしのせいで月夜が風邪をひくのは嫌だ!」  俺は月夜の話を遮った。  すると二度目の長い沈黙が訪れる。  部屋にはドライヤーから流れる風の音だけ――。  月夜は一向に頷く気配はない。  くっそ、頑固者めっ!!  こうなったらヤケだ。  俺は半ば強引に話を続ける。 「月夜がソファーで寝るならわたしもベッドを使わない。床で寝てやるから!」 「花音!!」  床で寝ると言った俺を月夜が叱る。  だけど俺だって負けない!!  負けてたまるか!! 「嫌だったら一緒に寝ろ!!」  これは命令。  後ろを振り向き、月夜を睨んだ。 「…………」  月夜は真剣な表情で俺を見つめている。  ……なんかすっごく怒っているみたいだ。  ちょっと怖いぞ。  ここへきてはじめて見る月夜の真剣な表情に怖気づいてしまう。  普段温厚な人間が怒ると怖いっていうけど……本当だな。

ともだちにシェアしよう!