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⑦似た者同士
「違わない。わたしのせいで月夜が風邪をひくのは嫌だ!」
俺は月夜の話を遮った。
すると二度目の長い沈黙が訪れる。
部屋にはドライヤーから流れる風の音だけ――。
月夜は一向に頷く気配はない。
くっそ、頑固者めっ!!
こうなったらヤケだ。
俺は半ば強引に話を続ける。
「月夜がソファーで寝るならわたしもベッドを使わない。床で寝てやるから!」
「花音!!」
床で寝ると言った俺を月夜が叱る。
だけど俺だって負けない!!
負けてたまるか!!
「嫌だったら一緒に寝ろ!!」
これは命令。
後ろを振り向き、月夜を睨んだ。
「…………」
月夜は真剣な表情で俺を見つめている。
……なんかすっごく怒っているみたいだ。
ちょっと怖いぞ。
ここへきてはじめて見る月夜の真剣な表情に怖気づいてしまう。
普段温厚な人間が怒ると怖いっていうけど……本当だな。
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