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⑧似た者同士

 でも負けるか!!  だって俺、間違ったこと言ってないし!  俺も負けじと月夜を睨み続ける。  カチッ。  月夜がドライヤーの電源を切った。  静かな沈黙が室内に流れる。  それでも俺は引き下がらない。  依然として睨み続けていると――。 「……わかった、負けたよ。かなわないな、花音には。ベッドで寝よう」  とうとう根負けした月夜は、ふたたび笑みをこぼした。  やっぱり月夜は笑っている方がいいな……。  月夜の笑みは見ていると胸の奥があたたかくなる。 「ほら、続き。君の髪はまだ湿っているからね」  そう言うと、月夜はまた後ろに向くよう俺を(うなが)した。  ――俺の髪がすっかり乾いたその後。  俺と月夜はどちらからともなくベッドに入った。  電気を消すと、薄暗がりになる室内。  隣に感じるのは、あたたかな人のぬくもり。  まさか16にもなって誰かと一緒に寝るとは思わなかった。  しかも同性の相手と……。

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