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⑨似た者同士

 この現状を想像すると苦笑してしまう。  祖父さんの遺書とか――。  許嫁とか――。  いつもだったらそんなこと関係なく、怒り狂って部屋を出ているだろう。  でも、月夜となら平気。  なぜかはわからないけど、そうなんだからしょうがない。  この状況はおかしいと思う反面、なぜか普通だと思う自分もいる。  そこがまた不思議だ……。  そんなことを考えていると、月夜が寝返りを打った。  月夜と俺は必然的に向かい合わせになる。  月夜からは静かな寝息が聞こえてきた。 「…………」  月夜、疲れてるんだよな。  だって今日は大活躍だった。  俺を迎えに家まで来たり、重い荷物を2人分運んだり、大変だったと思う。  俺だったら音を上げて、「なんで俺が!」って怒鳴り散らしているところだ。  だけど月夜はすごく温厚で、疲れた態度さえも見せなかった。

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