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⑯高校生活は前途多難!?
先生の年齢は40くらいかな。黒ブチ眼鏡をかけていて、中肉中背の男の人。
温厚そう。
それが、松尾先生の第一印象だった。
「今日からお世話になります。篠崎 花音 です。よろしくお願いいたします」
ひとまず一礼して挨拶すると、先生は机に並べられているファイルのひとつを手に取った。
何を書かれているのかは、俺からではちゃんと見えないけれど、おそらくは生徒の欠席数や成績が記されている学校日誌だろう。
「ああ、よろしくな。おかしな時期に転入してきたな。篠崎は……ふむ。葉桜と仲がいいのか。まあ、葉桜と同じクラスだし、すぐ慣れるだろう」
黒い目が優しく俺を見つめる。
先生は俺のページにざっと目を通し、そう言った。
……なんだかこの先生のクラスだったら簡単に打ち解けることができそうだ。
ほっとひと息つく俺だったが、事は思い通りには運ばない。
俺がそれを知ったのは、もう少し経ってからのことだ。
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